和文フォントメトリックの問題点

pTeX で使う和文フォントメトリックに関して,とりあえずは 『[改訂版]LaTeX2e 美文書作成入門』 に書けなかった問題点を整理しておきます。

高さ + 深さ < 幅 の問題

活版印刷(活字を使った印刷)の時代には,活字は正方形の面に刻まれていました。 コンピュータ組版になってからも,文字は正方形の枠(仮想ボディ)の内側にデザインされ, 通常はその枠をベタに並べて組みます(ベタ組)。 右図は平成明朝体の「龍」とその仮想ボディを示したものです。 PostScript で使う多くの横書き用の和文フォントでは, 仮想ボディの下から12%のところにベースライン(基準線)があり, これが欧文のベースラインに一致するように組まれます(ソフトの設定で移動できます)。

しかし,pTeX で昔から使われている min10 や goth10 などの和文フォントメトリックでは, 幅が 9.62216pt,高さが 7.77588pt,深さが 1.38855pt と仮定されています (TeX でいう pt(ポイント)は 1/72.27 インチです)。 つまり,高さ + 深さ(9.16443pt)より幅(9.62216pt)のほうが約5%広く設定されており, 高さ : 深さ = 28 : 5 になっています。

TeX 出力を PostScript に変換する際には, この幅を PostScript の和文フォントの仮想ボディの幅に合わせ, ベースラインを単純に一致させます。 したがって,TeX の認識する和文文字の枠は右図の点線のようになり, この枠のすぐ上にルビを打つと,ルビと親字が少し重なってしまいます。

右上の図は ryu.tex から作った dvi ファイルを dvips -Ppdf -E ryu.dvi -o ryu.eps のように処理して ryu.eps を作り, それを PNG 形式に変換したものです。

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松阪大学 奥村晴彦 okumura@matsusaka-u.ac.jp
Last modified: Sat Dec 23 14:20:07 JST 2000