TeX Q & A などでしばしば話題になる処理のうち,TeX 本体では 提供されず,ときとして TeX 自身は不得手とする処理について挙げます。 既製品があるものについては既製品も紹介していますが, それらを用いた場合の出力結果に不満がある場合には, ユーザ自身で対処することになります。

ここに挙げる処理を行うのが単なる「書き手の趣味」である場合には, 無理をせずに書き手自身の腕で無難にできる範囲の 処理で済ませる(か,画像にしてしまう)方が賢明である場合もあることでしょう。

丸附き数字

まず,丸附き数字(e.g. ① [U+2460], ② [U+2461], ③ [U+2462])の類は(従来の Shift_JIS, ISO-2022-JP, EUC-JP などの文字符号化方式を用いて記述する限り) 「環境依存」文字であることに注意してください (See qa:45781)。

対処法は,大別すると次の3通りになります。

  1. 丸附き数字などの字形をもったフォントを利用:
  2. 丸の中身と丸を合成:
  3. XeTeX, LuaTeXなど、Unicode化されたTeX族を利用する。ただし、技術力のある方以外には、まだまだしきいが高いものです。

複数行にわたる下線(あるいは波線・破線など)

まず,qa:32045 でコメントされている現実があることを認識してください。 その上で既製品に あたると,大石氏のサイトに 下線類を作成するマクロについての比較を行った文書 「file下線に関するマクロ比較」 (ただし,未完成)があり,その中でいくつかの既製品が紹介されています。 現在 入手可能なもののうち,和文テキストを取り扱うことを念頭に置いたもので, かつ比較的完成度の高いものを挙げます。

なお,欧文のみで よければ,ulem パッケージが 下線・二重下線・打ち消し線・波線などを提供しています。

飾り枠(ときとしてページ分割可能なもの)

TeX は「お絵描き」ソフトではない以上,そのような飾り枠の類は苦手とします。 それゆえ,凝った枠が要る場合には画像にするなり pstricks などの「描画用」パッケージを用いるなりするのが簡単でしょう。

ひとつのページに収まる枠

枠の途中でのページ分割の必要がなければ,比較的単純な形状の枠については ascmac パッケージが提供する itembox 環境といったものが存在します (さらに,枠の四隅の形状を変更した例が qa:45183 にみられます)。 また,niceframe パッケージは 「飾り文字を並べて作成した枠(ページ分割は不可)」を 作成するマクロを提供しています (niceframe パッケージを用いる場合には,このパッケージで使用するフォントの Type 1 版を CTAN:fonts/niceframe/ から入手しておくとよいでしょう)。

複数ページにわたる枠 (1) [枠自体を分割する場合]

「テキストに枠をつけたものを分割する」という形でのページ分割の必要がある場合, 長方形の枠については eclbkbox パッケージが 提供する breakbox 環境が利用できます。 なお,ページ分割可能な枠の四隅を四分円にしたり 斜めに切り落とした(八角形状の)枠にしたものは (著名な)既製品では提供されていないようですので, ユーザ自身で作成することになります。 要は,eclbkbox パッケージによる breakbox 環境などの処理をふまえつつ 「枠の四隅」のところだけ書き換えればよいということになります (やるべきことは qa:45183 の例と同様です)。 さらに,ページ分割可能な破線の枠を作成するとなると,もはや自動化は諦めて 「手動で枠を分割しつつ,枠の断片を pstricks あたりで描画する」 という方針をとるのが現実的かもしれません (一応,長方形の枠についてマクロレベルの処理で済ませた例が qa:17408 にあります)。

複数ページにわたる枠 (2) [複数の枠を作成する場合]

「枠をつけるテキストが複数ページにまたがる場合,個々のページに収まる部分ごとに 枠をつける」という処理を行うには,framed パッケージが 提供する framed 環境,shaded 環境 (あるいは shaded 環境の定義に準じてカスタマイズしたもの)が使えます。

原稿用紙

枠は必須でなくとも 「20文字×20行」のような体裁を要求されることがあります。

環境依存文字(謂ゆる機種依存文字)

どの環境でも気を付けるべき環境依存文字

Shift_JIS, ISO-2022-JP, EUC-JP に
おける環境依存文字
代替処置の例
テキストLaTeX や OTF/UTF/ums package の命令
(1)(10)\ding{"AC}, \ding{"C0}, \ajMaru{1}\UTF{}

\CID{}

\UMS{}
(11)(20)\ajMaru{11}
VIIIX\ajRoman{7}
ミリキロ\ajLig{ミリ}
ドルページ\ajLig{ドル}
mmkg\ajLig{mm}
m^2m$^2$, m\texttwosuperior, \ajLig{m2}
\UTF{301D}, \UTF{301F}
No.No\textnumero, \ajLig{No.}, \ajLig{No}
K.K.KK\ajLig{K.K.}, \ajLig{KK}, \ajLig{KK.}
TELTel\textsc{Tel}, \ajLig{TEL}, \ajLig{Tel}, \ajLig{tel}
(上)(中)\○上, \ajLig{○上}
(株)(代)\(株), \ajLig{(株)}
昭和平成\ajLig{平成}
$\oint$
\UTF{221F}
Δ$\mathnormal{\Delta}$, $\varDelta$
viiix\ajroman{7}

Microsoft Windows 環境で特に気を付けるべき環境依存文字

Shift_JIS,
ISO-2022-JP,
EUC-JP
における
環境依存文字
代替処置の例
テキストLaTeX や OTF/UTF/ums package の命令
Σ$\sum$, \Pisymbol{psy}{"E5}\UTF{}

\CID{}

\UMS{}
|\textbrokenbar
'\UTF{FF07}
"\UTF{FF02}
\ajHashigoTaka
\ajTatsuSaki
\ajMayuHama
 
Shift_JIS,
ISO-2022-JP,
EUC-JP
における
環境依存文字
代替処置の例
テキストOTF
UTF
ums






\UTF{}

\CID{}

\UMS{}
旧字体


本字
古字
同字
俗字
異体字
表外漢字
他,多数

Mac OS 環境で特に気を付けるべき環境依存文字

Shift_JIS, ISO-2022-JP, EUC-JP に
おける環境依存文字
代替処置の例
テキストLaTeX や OTF/UTF package の命令
©(c)\copyright, \Pisymbol{psy}{"D3}, \Pisymbol{psy}{"E3}\UTF{}\CID{}
TM\texttrademark, \Pisymbol{psy}{"D4}, \Pisymbol{psy}{"E4}, \ajLig{tm}
…...
(1)(10)\ajKakko{1}\UTF{}\CID{}
(11)(20)\ajKakko{11}
(1)(9)\ding{"B6}, \ding{"CA}, \ajKuroMaru{1}
0.0.\ajPeriod{0}
1.9.\ajPeriod{1}\UTF{}
XIXII\ajRoman{11}
XIIIXIII\ajRoman{13}
XIVXIV\ajRoman{14}
XVXV\ajRoman{15}
xixii\ajroman{11}\UTF{}
xiiixiii\ajroman{13}
xivxiv\ajroman{14}
xvxv\ajroman{15}
(a)(j)\ajKakkoalph{10}, \(j)\UTF{}
(k)(t)\ajKakkoalph{20}, \(t)
(u)(z)\ajKakkoalph{26}, \(z)
mm^2cm^2mm$^2$, mm\texttwosuperior, \ajLig{mm2}
cm^3m^3m$^3$, m\textthreesuperior, \ajLig{m3}
m\ajLig{m}
g\ajLig{g}
mldlm$\ell$, \ajLig{ml}
l$\ell$, \ajLig{l}
msns\ajLig{ms}
μs\textmu s, \Pisymbol{psy}{"6D}s, $\mu$s, \ajLig{micros}
°F\textdegree F, {}$^\circ$F
mbHP\ajLig{HP}
TBTB\ajLig{TB}
FAX\ajLig{FAX}\UTF{}
\ajvarSpade
\ajvarClub
$\heartsuit$, \ajHeart
$\diamondsuit$, \ajDiamond
\ding{"AB}, \Pisymbol{psy}{"AA}, $\spadesuit$, \ajSpade
\ding{"A8}, \Pisymbol{psy}{"A7}, $\clubsuit$, \ajClub
\ding{"AA}, \Pisymbol{psy}{"A9}, \ajvarHeart
\ding{"A9}, \Pisymbol{psy}{"A8}, \ajvarDiamond
\ajPostal
\ajPhone
(JIS)\ajJIS
\ding{"2B}, \ajRightHand
\ajLeftHand
\ajUpHand
\ajDownHand
$\leftrightarrows$
$\rightleftarrows$
↑↓$\mathord{\uparrow\downarrow}$, \Pisymbol{psy}{"AD}\Pisymbol{psy}{"AF}
↓↑↓↑$\mathord{\downarrow\uparrow}$, \Pisymbol{psy}{"AF}\Pisymbol{psy}{"AD}, \CID{8312}
\ajRightWArrow\UTF{}
\ajLeftWArrow
\ajUpWArrow
\ajDownWArrow
\ding{"E1}, \ajRightBArrow
\ajLeftBArrow
\ajUpBArrow
\ajDownBArrow
(日)(土)\(土), \ajKakkoYobi{7}
(祝)(呼)\(祝), \ajLig{(祝)}
(資)(財)\(財), \ajLig{(財)}
大⃝(大)\○大, \ajLig{○大}
小⃝(小)\○小, \ajLig{○小}
控⃝(控)\○控, \ajLig{○控}
(印)(秘)\○印, \ajLig{○印}\UTF{}
インチヘルツ\ajLig{インチ}
コーポビル\ajLig{コーポ}
有限会社有限会社\ajLig{有限会社}
財団法人財団法人\ajLig{財団法人}
う゛ワ゛\゛う, \ajLig{う゛}\UTF{}
\CID{7887}, \CID{7888}, \CID{7897}
\UTF{FE33}\UTF{}
︿\UTF{FE35}
\UTF{FE3D}

苦手とする数式

文字の上線

ボールド体

$\bm{\phi}$

使われるフォントをボールド体と見てくれない人が多くて困る.

\documentclass[10pt]{article}
\usepackage{bm} 
\begin{document}
$\bm{\phi}=\left(\phi_1,\,\phi_2\right)$
\end{document}

単位

普通は下記例のように書く必要があり苦しい.

1\,\textmu /s$^2$

本当(?)は下記例のように書けるようになるのが理想かも.

1\unit{\mu / s^2}

sistyle パッケージを用いると,大体そのような形で記述可能.

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Last-modified: 2010-02-13 (土) 22:41:56 (201d)