このページでは,Windows 向け(主に
W32TeX)の
TeX インストーラを色々な視点から比較してみます。
インストーラは多種多様なものがあってよいですし,
ユーザーの好みやレベルに合ったものを選べばよいでしょう。
インストーラを選ぶときの参考にして下さい。
色々と挙げていますが,今の時点では「TeX インストーラ 3」が
多くのユーザーにとって無難でかつ単純なインストーラではないでしょうか?
ただし,W32TeX を手動インストールできないような技術レベルであれば,TeX に手を出す前に然るべき技術的基礎を学んでください。
【注意】下記のインストーラの紹介における「初心者オススメ度」というのは
「PC 非初心者だが,TeX は初めて」というユーザ
(つまり,「TeX に関してだけは初心者」というユーザ)
に対するお勧め度と考えるのがよろしいでしょう.
「PC 初心者」には「TeX に手を出す前に学習すべきこと」が多々あります.
実際,現時点では,「各種の形式のアーカイブの展開操作」,
「環境変数の設定などのユーザ環境のカスタマイズ」といった処理ができる,
ということは TeX のようなソフトウェアを用いるための「レディネス」の一部です.
「そういったことは自力で(手動で)できるが,
ただ単に手間の削減のために各種のインストーラを用いる」というのは結構なことです.
しかし,「然るべき技術的基本をふまえていない状態で,
わからないままインストールしようとする」のは,
決して勧められたものではありません
(単に,「ユーザ環境の維持に必要な知識をあらかじめ身につけておいてください」
と言っても構いません).
もっとも,そういう「技術的基本をふまえていないユーザ」であっても問題なく
「問題なく使える環境を構築および *維持* できる」ものが用意されれば,
話は別ですが,今のところそのようなものは存在しません(構築するだけなら,
下記のインストーラのうちの適当なものを使ってどうにかなるようですが).
TeX インストーラ 3 (abtexinst.exe) †
- URL: http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~abenori/mycreate/abtexinst.html
- 作者: 阿部 紀行さん
- 初心者オススメ度: ★★★★★
- ライセンス: 修正BSD(2009/9/10, バージョン0.75から)
- インストールする対象: W32TeX バイナリ,dviout,Ghostscript,GSview
(DLL プラグインおよび Ruby スクリプトの追加方式により,xypic,ispell,WinShell)
- ユーザーインターフェース: GUI
- ネット・ローカルインストール: ネットインストーラ。
ローカルにも対応しています。
- 環境変数・レジストリ: 自動(環境変数 PATH,レジストリ)
- 長所: 『モットーは「誰にでもインストール出来る TeX」』の通りのインストーラ。
単にサーバーからのダウンロードなので,インストーラ用のパッケージャーが不要。
おそらく最も汎用性がある,
多くの Windows の TeX を使う人をカバーするインストーラ。
専用プラグインは Ruby により,比較的簡単に作成できる。
- 短所: dviout の初期設定で,Resolution (解像度)が 600 dpi 以上でない
(好みの問題ですが……)。ファイルのバージョン管理には,それなりの工夫が必要。
このインストーラの長所はそのまま最大の短所でもあります。
実際、TeX を用いるための「レディネス」を欠いたユーザですらインストールしてしまえるという弊害があります。
- 備考: TeX インストーラ 3 ローカル特化バージョンも別途公開されています。
その他,多数の TeX 関連ツールおよび解説をされています。
texinst †
- URL: http://w32tex.org/index-ja.html
- 作者: 角藤 亮さん
- 初心者オススメ度: ★★★★☆
- ライセンス: フリーウェア
- インストールする対象: W32TeX バイナリ
- ユーザーインターフェース: CUI (コマンドプロンプト)
- ネット・ローカルインストール: ローカルのみ
- 環境変数・レジストリ: 手動(環境変数 PATH)
- 長所: 最もシンプルなインストーラ。
自作のバッチファイル update.bat などを自分用に用意すれば,
他の処理とも連携できます。
- 短所: Windows の GUI しか触ったことのない人や,
初心者には厳しいかもしれません。
しかしながら,最も TeX システムというものを
TDS (TeX Directory Structure) から見せてくれるところがよい。
初心者の方も勉強だと思って,
これを用いて TeX 環境を構築されるのが一番良いでしょう。
TeX 環境インストーラ †
Cygwin で日本語 TeX †
- URL: http://ptetexwin.sourceforge.jp/
- 作者(パッケージ制作者): 黒木 裕介さん
- 初心者オススメ度: ★☆☆☆☆
- ライセンス: インストーラは Cygwin Netinstaller をそのまま使っているので GPL。
パッケージングスクリプトなど ptetex ソースからの追加分は修正済 BSD
(ただし「パッケージ制作者が増えて」の分に関しては,各制作者に依る)。
- インストールする対象: ptetex をコンパイルしたバイナリ
(pTeX 本体や様々なクラスファイル・マクロ・プレビューアの xdvi)に加え,
関連ツール(日中韓対応 Ghostscript,ps2jpdf)や追加のマクロなども
(パッケージ制作者が増えてパッケージが増えれば,どんどん広がる)。
- ユーザーインターフェース: GUI (Cygwin Netinstaller)
- ネット・ローカルインストール: ネットにもローカルにも対応。
- 環境変数・レジストリ: 環境変数は自動で設定される。
レジストリは汚さない方針*1。
- 長所: 日本の UNIX/Linux の定番 TeX ディストリビューション
ptetex が,Cygwin でもそのまま使える。W32TeX を
Cygwin で使えるようにする作業などを考える必要がない。all in one と
言ってよい。パッケージ制作者が増えてパッケージが増えれば,
もっと面白くなる! 豊富な CTAN のパッケージのインストールが
どれだけ簡単になることか,計り知れない。
追加パッケージ作成はテキストベースなので簡単にできる(参考:
Cygwin で 日本語 TeX — TeX マクロをバイナリ配布するには)。
- 短所: そもそも UNIX 系 OS に馴染みがない人には無縁の世界。Windows しか
触ったことのない初心者には,かなり高い敷居がある。
- 備考: 黒木さんのドキュメントは非常に丁寧に書かれていますので,
一読されると良いでしょう。
Cygwin JE †
- URL: http://sourceforge.jp/projects/cygwin-je/
- 作者(パッケージ製作者): Rue. SATOH さん
- 初心者オススメ度: ★☆☆☆☆
- ライセンス: インストーラのライセンスは GPL。
- インストールする対象: nkf,lha などの日本語環境用のツールが主体。TeX
関連では,teTeX-2.0 + 日本語化や Ghostscript,xdvi など各種ツールがある。
- ユーザーインターフェース: GUI (Cygwin Netinstaller)
- ネット・ローカルインストール: ネットにもローカルにも対応。
- 環境変数・レジストリ:
- 長所:
- 短所: teTeX-2.0 ということで,少々古め。
開発が止まっている。
ソーススクリプトがないパッケージがある(例えば Ghostscript)。
そもそも UNIX 系 OS に馴染みがない人には無縁の世界。Windows しか
触ったことのない初心者には,かなり高い敷居がある。
- 備考: Cygwin の setup.exe に
http://cygwin-je.sourceforge.jp/cygwin_je/ を追加すると,
日本語化された各種パッケージがインストールできる。
その中に teTeX-2.0,Ghostscript,xdvi などが含まれている。
LabTeX Installer (LabTeXInst.exe) †
- URL: http://labsoft.web.fc2.com/index.html
- 作者: 斎藤 卓也さん
- 初心者オススメ度: ★★★★★
- ライセンス: 個人での使用における使用に制限なし。
ただし,再配布は同梱の様々なソフトウェアのライセンスを守るように。
- インストールする対象: W32TeX バイナリ,jsclasses,Ghostscript,GSview, DVIOUT
- ユーザーインターフェース: GUI
- ネット・ローカルインストール: ローカルインストーラ。
- 環境変数・レジストリ: 自動(環境変数 PATH)
- 長所: LabEditor用のTeXインストーラです。LabEditorでの使用を想定していますが、汎用TeXインストーラとしても使えます。
ローカルインストーラなので、ネットワークにつないでいる必要もなく、またネットワークからダウンロードが失敗してインストールできないということもありません。GhostscriptやDVIOUT等のインストールは解説付きで本来のインストーラを操作させるタイプですので、ブラックボックス化されておらず、自分が何をやっているのか良く分かります。Windows Vistaにも対応しています。
- 短所:LabEditorで使用したときに問題が生じないようにインストールが固定化されているため、カスタマイズはほとんどできません。
- LabTeX Installerを追加しました。 -- つちのこ
postinstall スクリプトで regtool コマンドあたりを使うと,設定できるらしい。Cygwin 本家からインストールされるパッケージの中には,レジストリの書き込みを行うものがある。
Last-modified: 2010-05-29 (土) 14:17:28 (62d)