高校情報教科書あら探し

数年前,American Institute of Physicsの会誌Physics Todayが Middle-School Texts Don't Make the Grade という記事を掲載して,教科書のたくさんの嘘を暴いた。 こういったことをどこかがしないと教科書や教育の質は上がらない。 ここでは高校情報教科書の嘘を暴く。

フレーム,パケット

実教『新版情報C』p.69の問題「分割したデータに制御情報を加えた小さなひとかたまりのデータ」って何だろう。イーサネットならフレームだし,IPならパケットだし。

データ圧縮

実教の『情報A』,p.106,ランレングス符号化(情報量は減らない)の例を挙げて「このように情報を減らすことを圧縮といい,圧縮された情報をもとの情報にもどすことを解凍という」。 2005年度からの『新版情報A』(p.116)は解凍が伸張になっただけで表現は同じ。 このような処理を「数値計算」と呼んでいるのも奇異。

他所にもファイルサイズ(データ量)のことを「情報量」と書いてある。

DNS

某社の次年度用高校専門教科情報教科書『ネットワークシステム』巻末 53/domain の説明:「URLとIPアドレスの変換を行う」。 あと67も68も bootps になっているぞ。

例えば実教の新版情報C,p.58,解決できなかったら「その上位にある別のDNSサーバに問い合わせる」はルートサーバではないのか。 『ネットワークシステム』p.74でもルートサーバの下にjpサーバがあり,その下にac.jpサーバがあるという説明になっている。 これは概念の説明としては正しいが現実にはそのような運用になっていない。

HTML

某社現行情報A『Let's click』のHTMLのサンプル:

<p><h1><font color="red">豊かな自然のまち</font></h1></p>

ここで <h1>...</h1> を <p>...</p> で囲むのは変(CSSの話をしているわけではない)。

実教新版情報A p.100,BGSOUNDタグはIE専用だぞ。何でこんなの教えるんだ。

携帯にやさしいWebページの例として,わざわざ行を短くしたページの例を載せているものがあった。 そうじゃなくって,画面の幅に依存しないコーディングをするべきでは?

SMTPとPOP

実教2005年版A p.126,「送信側のメールサーバをSMTPサーバ,受信側のメールサーバをPOPサーバという」。 これはp.127でそのまま節末問題にもなっている。 実際は,送信側も受信側も一般にSMTPプロトコルを使う。 メールソフトが受信側のサーバからメールを取得するためのプロトコルにPOP3やIMAPがある。

POP3とIMAP

某社の(IMAPと比較した)POP3の制約についての説明: 「受信のときは,メールサーバに届いているすべてのメールをダウンロードしなければなりません」 「一般にはクライアントがメールを受信すると,メールサーバからそのメールは消えてしまいます」 といった感じで全体的に変。 IMAPはこのような制約がなく,携帯端末からでも使いやすいといった説明があり,ケータイの絵が載っていた。 IMAPの使える携帯ってあるのか?

ルータの絵

どこの教科書だったか、ルータの絵があまりにもひどいといって大阪方面の某先生が笑っていた。

リンク許諾

リンク許諾についての話は リンクに許可は不要です に書いたように,正しい教科書(例:日文)もあれば,ひどく誤解している教科書(例:第一学習社)もある。←第一学習社は訂正された。

参考リンク

(付)普通教科「情報」教科書シェア

ちょっと古いが ここ によれば実教,日文,第一の順。 実教は,Windowsの解説書みたいに,明らかにWindowsだとわかる三つボタンが右上に付いた窓のスクリーンショットを多数載せる。 日本語入力には[半角/全角]または[Alt]+[半角/全角]といった説明まである。

東京都の採択状況が 17年度18年度19年度 と出ている。 実教・情報Aが強い傾向は変わらないが,第一,日文も健闘し,情報B・Cも延びている。




Last-modified: 2015-09-17 (木) 10:35:11 (283d)